我が家はマンション住まいなので、ムスコは学校から帰ってくると、まずマンションのエントランスでインターホンを鳴らす。
今日もいつもの時間にインターホンが鳴り、息子の姿が見えたので、黙ってロック解除しエントランスを開ける。
そのまま玄関に向かい、鍵を開けてから物置部屋でしばし片づけをしていると、ムスコが帰ってきた。
「かーちゃん、ただいまーーー!!」
いつもなら、おかえりと返すところだけど、ちょっと考え事をしていたので、返すタイミングを失ってしまう。
「かーーーちゃーーーん!たーーーだーーーいーーーまーーーーー!!!」
ちょっといたずら心に火が付いた。
リビングにバタバタを足音を立てて走るムスコ。
「かーちゃん?」
リビングに私がいないことを確認すると、トイレのドアやお風呂のドアをバタバタ開けては閉める。
「かーーーーぁーーーーーちゃーーーーぁーーーーん!!」
物置部屋を少し覗き(ここで奥まで覗かないところがムスコの詰めの甘いところ)、寝室を覗き、ベランダを覗く様子のムスコ。
その度に、「かーちゃん」を連呼。
「かーーーーーちゃーーーーーぁーーーーーん!!!!!!」
大きな声で叫んだあと、しばしの静寂。
そして。
「かーちゃんがいなくなちゃったぁよぉーーーーー。うわぁーーーーーーん!!」
大泣き。
急いで、「ここ、ここ!」と出ていくと、顔をくしゃくしゃにしながら走ってくるムスコ。
「ごめん、ごめん」と謝ると、大きな声でわんわん泣きながらぎゅっと抱きついてきた。
小学生になって生意気なったと思っていたけど、まだまだ甘えん坊で可愛い。
どうしようもなく親バカだとは思うけど、「かーちゃんが!”#$%%&&(※文字化けではありません)」と泣きながら訴えるムスコがかわいくて、愛おしくて。
お母さんという仕事、いろんなことを犠牲にしなきゃならないけど、子供から与えられるものも大きい。
それも、かなり大きい。
お母さん業も悪くないじゃないかと思った。