今年もメディアでインフルエンザやノロウィルスが騒がれる時期になってきた。
私は基本的には手洗いとうがいでインフルエンザや風邪は予防できると信じて疑わない人間だ。
さらに注射が人一倍嫌いなことも手伝ってか、最後にインフルエンザの予防接種を受けたのは中学3年生の頃だったかと思う(高校の時も集団予防接種はあっただろうか?)。
つまり、成人してからは自ら病院に足を運び、予防接種を受けた記憶がないのだ。
一方のヲットはと言うと、毎年秋になると、会社で予防接種が受けられる。
無料(正確には保険料を支払っているので無料ではないけれど)なので、これ幸いとばかりに受けるよう勧めている。
接種日も数日設けられているので、これまで受けられなかったということはなく、無事に毎年接種しているという状況。
今年も先月、無事に接種が終わったのだけれど、ふと気がついたかのようにヲットが言う。
「ねえ、なんで毎年、たいちゃんは受けないの?」
ぬぬぬ。気がつきよったか。
「ほら、私はタダじゃないし、それに今まで手洗いとうがいで予防できてるし。」
何とも苦しい言い訳だ。
いや、私に言わせれば、去年、あれだけ流行った新型インフルエンザだって手洗いとうがいで予防できたのだから、あながち間違いではないと思うのだけれど、ヲットには必ず接種しろと言っている手前、どうも説得力に欠ける。
私の話を聞き、ヲットがポツリと言う。
「なんかさ、私だけ損してる気がする。今年は受けてよね。」
ごごーーーーーん。
嫌なんですよ。注射というやつが。私は。
という話を友数人にしてみたところ、皆が口を揃えて「ごもっとも」だと言う。
ごごごごーーーーーーーーん。
その後、ヲットは注射のことを忘れているようだったので、できるだけ話題に上らないようにしていた。
ところが、先週末のこと。夕方のニュースでインフルエンザ流行の兆しなどというけしからん話題を扱っていた。
思い出したかのようにヲットが言う。
「ねえ、注射、受けた?」
「・・・・まだ。」
「今週中には行くんでしょ。」
「いや、まだ予定は入れてない。」
「もう12月だけど。」
「そうだねぇ。ところで・・・・」と、話をそらそうとする私。
すると、ヲットが一言。
「今週中に注射行ったら、ご褒美にビラージュ(お気に入りのフレンチのお店)おごってあげてもいいよ。」
キラーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン☆
「行く。明日、行ってくる。」
かくして、昨日、何十年かぶりにインフルエンザの予防接種を受けた私。
思ったほど痛くはなかったけど、注射には違いない。
頑張ったね、私。
ヲット、約束はしっかり果たしてもらうぞ。
水族館や動物園の動物は餌付けにより芸を覚えるらしい。
褒美を与えることにより、苦痛に耐えられるというのはある種、動物の本能なのだ。