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見送り
2023年 05月 19日
先月の事。
唯一無二の親友が東京に越してきた。
田舎を離れた17歳の春、彼女は山口に私は兵庫へと旅立った。
一生の別れでもないのに、小倉駅の在来線のホームで彼女の乗る電車を泣きながら見送った。
これが私が記憶する最初の別れ(=見送り)。
ほどなくしてゴールデンウイークがやってきた。涙の別れから一ヶ月足らずで、再会した私たち。
その後も長い休みには必ず再会。
私よりも少し早く車の免許をとった彼女はいつも車でうちにきてくれた。時には彼女の運転で海に行ったりもした。
少しだけ大人になった私たちは長い時間話し込み、いつも彼女が帰るのは夜も更けてからだった。
田舎の暗い道を車のテールランプだけが赤く光る。
そのランプが角を曲がって見えなくなるまでずっとずっと手を振り続けて見送った。
また休みになったら会えることは分かっているのに、踵を返すや否や涙があふれてくる。
やがて私が韓国で暮らすようになると、学生の頃のように会うのは難しくなった。
けれど、日本に帰る時は必ず彼女のいる街を経由して実家に帰っていたし、彼女が韓国に遊びに来てくれたりもしていた。
その辺りからだろうか。
彼女だけに関わらず、見送る寂しさを痛感するようになった。
日本から遊びに来てくれた友を空港に送る。
出国ゲートをくぐる友を見送ったあと、くるりと振り返った時の空港の景色、家路に向かうときのバスから見える風景、全てに胸が締め付けられる思いだった。
そして、家に着くとわんわん泣いた。
そうなのだ。私にとって「見送る」ことは「別れる」ことに直結するのだ。
だから、帰国してこの町に住むようになっても、彼女と会うたびに、彼女を見送る電車のホームでぽろぽろ泣いた。
その彼女が都内に引っ越してきたのだ。
小倉で別れたあの春から数十年。
ようやく電車で行き来できる距離で暮らせるようになった私たち。
その彼女と昨日、都内で再会した。コロナ禍も手伝って、実に4年ぶり。
改札で、「たいたい!」と声をかけられ、振り向くと彼女が大きく手を広げてこちらに走ってきた。
「すぐ分かった。すぐ分かったよ・・・」
「うんうん・・・」
そう言うと、2人で抱き合って泣いた。
待ち合わせの人がたくさんいる中で抱き合って泣いた。
「あ~、こんなふうになる気がしてた。ちょっと落ち着こう!」と、柱の陰でクールダウンした。
あっという間に時間は流れ、夕方に。
帰りの電車で私が改札を通る時、彼女が言った。
「今日は私が見送るけん(=見送るね)」
頷いて、改札を抜ける私。何度振り向いてもずっと私を見ている彼女。
見送ることは別れること、だけど、実は見送られることも別れること、なのだ。
振り向かずに行かないとずっと彼女は帰れない。
だからもう振り向かずに行こう。そう思って小走りにホームへ向かった。
最寄り駅についてもまだ夢見心地だった。
電車で行き来できる距離に暮らすことはもうないだろうと諦めていたので、越してきたと言われても、にわかには信じがたかった。
そして、実際に会っても、来月も絶対に会おうね、と約束しても、それでもやっぱりまだ信じられない。
でも。
コロナ禍の終わりが見えてきたこの時期に、ムスコが中学に入学したこの時期に彼女が都内に越してきたことにはきっと意味があるのだ。
17歳とは違う、もう人生の折り返し地点を過ぎた今だからこそ二人で楽しめることがきっとある。
神様がそう言っているような気がしてならない。


by たいたい # by taitaifromichon | 2023-05-19 09:34 | | Comments(2)

神の君
2023年 05月 08日
バタバタの黄金週が終わった。
今年は戦国武将好きのムスコたっての希望の地、上田(城跡)へ。
とは言っても、上田は小さな町なので(←失礼)、その前日に松本城に行き、上田城跡を見た後そのまま小諸(城跡)にも行きましょう、という2泊3日の計画。
が、直前に当選してしまった。
当たるはずがないと思いながらも出していた「浜松まつり騎馬武者行列」の観覧席チケット。
さて、どうしよう。いや、行くけど。←どないやねん
幸いなことに長野旅行2泊3日の3日目のお昼に騎馬武者行列は行われるので、大きく予定をずらす必要はない。
上田城を見た後、浜松に向かうべきか(=既に予約してある軽井沢のホテルはキャンセル)、翌朝早く浜松に向かうべきか。
結局、後者を選択し、5日の早朝に浜松に向かった。
大きな渋滞もなく、お昼過ぎには浜松到着。
受付を済ませようと列に並ぶ。
セキュリティーチェックを終え、もう一度、チケット確認。

・・・・並んでるブロック間違えてますやん。(しっかりしろ!私)

急いで、本来のブロックに向かう。
既に長蛇の列ができていたけれど、受付を終えた後にムスコが2人で入れそうな場所を見つけに行く。(グッジョブ!ムスコ)
待つ。
待つ。
待つ。
ようやく13時半をまわる。あと30分。
待つ。再び。
待つ。再び。
待つ。再び。
ほどなくして、警備の人が「お待たせしました。お立ちください。まもなく開始で~す!」とのこと。
皆が一斉に立ち上がると、ムスコがするすると前に行き、あれよあれよという間に前から2番目にもぐりこんだ。
褒めるべきか、しかるべきか。
ま、今回は褒めといたろ。←おい!

ムスコは松本さんとハナコ岡部さん(平岩親吉役)を見られるのも楽しみにしていた。
岡部さんは岡部でもいいけど(←おい!)、松本さんは皆「殿」とか「松潤」と声をかけるに違いない。
ならば、別の方法にしよう、ということで、2人で一緒に「松本三河守(みかわのかみ)」と声掛けすることにしよう(ちなみに、岡部さんには岡部親吉)と決めていた。
事前に軽く練習もした。
けれど、実際に目の前に現れた瞬間に「まーーーーーつーーーーーじゅーーーーーーーん!!!!!」と叫ぶムスコ。

おい。

ともあれ、お美しい、この世のものとは思えない程のお美しい生き物。
満足。
今回の大河はつまらない、リアルタイムじゃなくてもいいなどと言っていたけれど、反省。
良い子の皆、大河はためになる番組だから、しっかり見よう!←主催者側の思うつぼ

by たいたい # by taitaifromichon | 2023-05-08 09:21 | | Comments(2)

神様は見ている
2023年 04月 21日
ここ5年間。
4年前に父が亡くなり、直後にコロナ禍で生活に制限がかかり、ムスコが急に受験すると言い出し、良くないことや大変なことがたくさんあった。
けれど、そのムスコは無事合格し、充実した毎日を送っているようでいいこともあった。
文字通り二人三脚で勝ち取った合格。もちろん、嬉しかった。
今日、それに匹敵するぐらいの朗報が舞い込んできた。
この街に越してきて早20年。
ずっとずっと夢に見ていた。
そして、いつの日か叶わぬ夢だと思い「思い描く」だけの楽しみになっていた。
こんな日が本当に来るなんて。
子供が中学生になり、仕事を始めようかと言う周囲の空気に押され、私も少し考えてみようかと思っていた矢先のこと。
神様はちゃんと見ている。
私の手が空き、これまで頑張ってきたご褒美に違いない。
嬉しい。
明日からの日々が楽しみで仕方ない。


by たいたい # by taitaifromichon | 2023-04-21 15:06 | | Comments(2)

入学
2023年 04月 13日
10日。ムスコが青空の下、入学式を迎えた。
ぶかぶかの学生服を着たムスコは自他共に認めるTHE 1年生だ。
見知らぬ土地の初めての学校で1からのスタートは不安も大きいだろう。
入学式の翌日、見るとなくベランダから外を見ていたら、1年生と思しき女の子がお母さんと一緒に歩いていた。
この時期、まだ1年生は途中まで親と一緒に登校する子が多く、きっとその親子もそうなのだろう。

これまでずっといつも一緒だったムスコがひとりで通学するなんて。
ランドセル、重いけど大丈夫かな。

その親子を見ながら、ムスコが小学校に入学した当初、いろんなことを心配したのを思い出した。
あれから6年が過ぎ、ムスコは中学生になった。

これまでずっといつも一緒だった電車にひとりで乗るなんて。
詰襟、きつくないかな。

6年経っても、結局、心配の種は尽きない。
過保護すぎるけど、結局12歳になった今も、「初めて」のことは心配だ。
けれど、これから先はこうしてどんどん成長していき、親離れ・子離れが進んでいくのだろう。
早く新しい環境に慣れて、楽しい毎日が送れますように。


by たいたい # by taitaifromichon | 2023-04-13 11:16 | | Comments(0)

いつもの
2023年 03月 16日
6年前の4月、ムスコが小学校に入学してからずっと日課だった見送り。
庭先に出ていってらっしゃい、とかではなく、玄関で見送った後、ベランダへ直行。
通学路がベランダから見えるからだ。
ベランダが見えなくなる最後の場所で道路脇のブロックに上り、こちらに向かって大きく手を振っていたムスコ。
友達と一緒の日は、友達も一緒に手を振ってくれた。
立ち止まってこちらを見るだけになったのは何年生ぐらいからだっただろうか。
やがて高学年になると、友達と一緒の日は立ち止まることもなくなった。
その成長が嬉しくもあり、寂しくもあり。
私に怒られ、ベランダに出ていないことを知りつつも、いつもの場所でいつものように立ち止まってこちらを振り返っていたムスコ。
雨の日も雪の日もほぼ毎日、立ち止まって振り返り、私は手を振った。
それも今日が最後だ。
明日、卒業式を迎えるムスコ。
明日は家族3人で揃って登校する。
ゆえに、ベランダから登校するムスコを見送るのは今日が最後。
知ってか知らずかムスコはいつものように立ち止まってこちらを見る。
私もいつものようにベランダから手を振る。
最後なんだな。これで、最後なんだな。
小さくなったランドセルを背負い颯爽と歩くムスコを遠目に眺めながら感慨深く思った。

by たいたい # by taitaifromichon | 2023-03-16 09:34 | | Comments(2)



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こんな奴です。期間限定でこんなのもやってます。
どうぞよろしく。

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